住宅ローンを完済された皆様、長いあいだ大変にお疲れさまでした。
もう一つ、やっておかなければならないことがあります。それは”抵当権の抹消登記”です。
家を譲渡(売却)、贈与(名義変更)、相続などをするときに困らないよう今のうちにやっておきましょう!
そこで・・・
抵当権の抹消登記は司法書士でないとできない? 自分でできる?
結論! 自分でできます。多少の労力と時間がいりますが、それほど難しくはありません。
この記事では私が実際に自分で行なった抵当権の抹消登記の方法を分かりやすく解説します。
抵当権抹消の登記とは
家を購入する際には住宅ローンを組むのが一般的ですが、金融機関はその家を担保とすることを融資の条件とします。
この条件を満たすために、融資を受ける人が購入する家に抵当権の設定の登記を行っているのです。
通常は購入の契約の際、不動産会社等の司法書士により手続きが行われています。
その後、住宅ローンを完済するなどして不要になった抵当権を登記記録から削除する手続きが抵当権抹消の登記です。
抵当権抹消の登記はなぜ必要か
住宅ローンを完済すると設定されていた抵当権は無効になりますが、登記記録のうえでは自動的に削除されることはなく、抹消の登記をしなければ抵当権の登記記録は永久的に残ります。抵当権抹消登記の期限は無いのです。
抵当権の登記がされている家の登記記録を第三者が見ると、この家は住宅ローンがまだ残っていると認識してしまいます。
抵当権抹消の登記を自分で行なうメリットとデメリット
デメリット
- 手間がかかる
- 法務局へ行くために会社を休む必要がある
1.手間がかかる
登記申請書やその他の書類を自分で作成したり、何が必要なのかを自分で調べて準備する必要があります。
2.法務局へ行くために会社を休む必要がある
法務局は平日しか業務を行っていないので、平日が仕事の方は会社を休んで手続きに行かなければなりません。
また、不備などがあると別な日に出直しになる可能性もあります。
私はの場合は法務局に出向いて申請を行ないましたが、郵送や“オンライン”でも手続きは可能です。
これらのデメリットは、専門家に依頼し金融機関から届いた書類を転送するだけで全部クリアしてくれます。
もちろん、それなりの費用は掛かります。
メリット
- 専門家に支払う費用がかからない
- 自分に知識が身につく
1.専門家に支払う費用がかからない
不動産に関する登記手続きの代行を依頼する専門家は司法書士になります。
抵当権抹消登記の司法書士報酬は通常では16,000円程度です。(司法書士により異なる)
この費用が節約できます。意外と安いかもですね…
ただし、必要な書類が揃わないなどイレギュラーな事情がある場合は追加料金の可能性があります。
※その他の費用は記事の終わりのほうに記述してます。
2.自分に知識が身につく
一度抵当権抹消登記の手続きを自分で経験すれば、必要な書類の作成や登録免許税の知識なども身に付き、もし次回不動産関係の登記が必要なときは躊躇なく自分でしようと思うでしょう。
また、家の名義変更など別の登記手続きが必要になった場合には躊躇なく自分で対応する気になりますね。
抵当権抹消登記はいつどこでするのか
住宅ローンを完済すると融資の担保も不要になるので、ここで抵当権の抹消の登記を行ないます。
金融機関から通知が来たら早めにやっておきましょう!
登記手続きをする場所はその家の所在地を管轄する法務局になります。
抵当権抹消の登記をしなかったらどうなるか
抵当権抹消の登記手続きには期限はありませんので、いつまでに行ってくださいとは誰からも言われません。
抹消登記しないかぎり、永久に登記記録に記載されたまま残ってしまうのです。
登記記録は、原則として手数料を支払えば誰でも見ることができ、登記事項証明書を取得することができます。
先にも書いた通り、ある人からみれば登記記録に抵当権が登記されているということは、まだ住宅ローンが残っていると思われてしまいます。
また、不動産を売却や名義変更などする場合、抵当権が登記されたままになっていると障害になり、このときに抹消の登記から行う必要があります。
あまりに期間が経過していると金融機関から受取った書類が使用できなくなっていることもあり得ます。
この場合、金融機関から改めて抵当権抹消の登記手続きの書類を発行してもらう必要があります。
このように、住宅ローンの返済が終わっているにもかかわらず抵当権抹消の登記がされていないと、多くの手間と時間、場合によっては別料金がかかることもあるのです。
では、具体的に抵当権抹消の登記手続きの流れをみてみましょう
金融機関から送られてきた書類の確認
住宅ローン完済にともない、金融機関から抵当権抹消登記手続きに必要な書類が送られてきますが、内容は金融機関により異なるようです。
私の場合は以下の書類が届きました。
- 抵当権抹消登記手続に関するお願い
- 抵当権設定契約証書
- 登記識別情報通知(土地・建物)
- 抵当権抹消用委任状
それでは、ひとつづつ書類に説明をしていきましょう。
抵当権設定契約証書
家を担保にするために抵当権の設定の登記をする契約をしたときの金融機関との契約書です。
金融機関の抵当権解除証書を兼ねている場合もあります。
登記識別情報通知書(土地・建物)
以前の登記済証(権利証)がデジタル化のため廃止されたことにより導入されたその不動産登記の登記名義人本人であることを公に証明する情報になります。次のような登記をする際に必要になります。
- 所有権移転登記(売却や贈与を行うとき)
- 抵当権設定・抹消登記(住宅ローン借り入れ・完済手続きのとき)
今回の場合は、この金融機関が抵当権の設定登記をしたということを証明するものになりますね。
抵当権抹消用委任状
抵当権抹消の登記は所有権の登記名義人である私(登記権利者)と抵当権者である金融機関(登記義務者)で共同で行う必要があります。
実際の実務では金融機関の委任状による委任行為として登記権利者が登記手続きを行うことで、共同で行った抵当権抹消の登記となります。
これに必要な金融機関から私に対する委任状になります。
提出書類の準備
法務局ホームページの”住宅ローン等を完済した方へ(抵当権の登記の抹消手続のご案内)”に詳しく書かれていますが 、私の場合の例を交えてが概要を説明します。
法務局がこの手続きに必要としている書類です。
- 登記申請書
- 添付情報(登記申請書に添付する書面)
- 登記識別情報(又は登記済証(抵当権設定契約書に「登記済」の押印がされたもの)
- 登記原因証明情報
- 会社法人等番号
- 代理権限証明情報(委任状)
登記申請書
法務局のホームページから“不動産登記の申請様式について”にアクセスしてください。
“3-1抵当権抹消”の様式を使用し、必要事項を記入していきます。
記載例を参考にしながら進めましょう、それほど難しい作業ではありません。
登記申請書はA4サイズです、1枚に収まらず2枚になるとホチキス止め+割印(契印)が必要になりますので、私は詰めて1枚に収めました。
添付情報(登記申請書に添付する書面)
- ・登記識別情報(又は登記済証(抵当権設定契約書に「登記済」の押印がされたもの)
-
これはこのまま添付
- ・登記原因証明情報
-
登記申請書に記載する登記原因を証明するものです。
これは金融機関から送られてくる書類の抵当権解除証書などにあたります。
私の場合、抵当権設定契約証書に金融機関が抵当権を解除する文言を追記して証明書を兼ねていました。
- ・会社法人等番号
-
登記申請書と委任状に登記義務者として金融機関の名称を記載する際に法人番号も記載します。
私の場合、金融機関からの案内文書の抵当権抹消登記手続に関するお願いに表記してありましたし、委任状にもあらかじめ記載してありました。
- ・代理権限証明情報(委任状)
-
私の場合、登記義務者として金融機関の住所会社名に押印された空の委任状になっていましたので、登記権利者の欄などに私の住所氏名を追記して使用しました。
収入印紙貼付用台紙
コピー用紙1枚を収入印紙貼付用台紙として用意し、登記申請書に重ねてホチキス止めし割印(契印)をします。
その他添付書類は登記申請書+台紙にクリップ止めで提出します。
登録免許税納付
登録免許税を収入印紙で納付します。
収入印紙を台紙に貼付けますが、くれぐれも収入印紙に消印はしないようにしてください。
抵当権抹消の登記を自分で行なった場合の費用は
- ・登録免許税
-
登記する不動産1物件につき1000円です。私の場合は戸建てで建物と土地1件づつで計2000円でした。
- ・交通費、郵送の場合は切手代
申請先は
登記申請する不動産の所在地を“管轄する法務局”に申請書類を提出します。
私の場合、窓口で書類を確認され、受け取ってもらったら、登記完了予定日のお知らせという書類を渡され、完了予定日とそれから3か月以内に再訪すれば登記完了証が交付されるとの説明があり、提出書類に不備がある場合は完了予定日までに連絡があり、不備がない場合は連絡しませんと書いてありました。
終わりに
特に不備等の連絡もなく抵当権抹消の登記は完了しました。
いかがでしたか?
時間が捻出できる方は、挑戦されてみてはどうでしょうか。